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(前略)
こうして初めて受けた共通テストは6割超え。東京大学の2次試験は2段階選抜の足切りがなかったために受けられたものの、合格最低点から120点足りずに不合格になってしまいました。
2年目の挑戦は共通テストは7割程度になり、合格最低点から足りない点数は50点差まで詰めたものの、またしても不合格になってしまいます。
■3年間、1日10時間の勉強を続けて“体は限界”
こうして倉田さんの受験は、3年目に突入しました。彼の中ではこの1年を最後にしようと決めていたそうです。
「最初、敬天塾の先生と東大を目指すにあたって相談をしたのですが、『1年ですか?』と聞かれたのです。何年で受かるかはわかりませんでしたが、さすがに1年は(東大受験を)なめていると思ったし、無理だと言われると思ったので、『3年です』と答えました。それから3年という区切りをつけて勉強はしていたので、もしこの年に落ちたらどうするかはあまり考えていませんでした」
3年間、1日10時間にも及ぶ過酷な勉強は、倉田さんの肉体にも影響を及ぼします。
「精神的にはあまり疲れはありませんでしたが、おそらく勉強のやりすぎで、ずっと頭痛がしている状態でした。ずっと頭痛をごまかしながら受験勉強をしていました」
満身創痍の中、ラストイヤーと決めて臨んだ共通テストは79.9%。他の受験生と比べても高くはないパーセンテージでしたが、最後と決めていたので挑戦しました。その結果、見事に3回目の挑戦で、東京大学の文科2類への合格を成し遂げました。
最低合格点をわずか0.9889点上回っての合格。漢字を1字間違えていたら落ちていたかもしれない、紙一重の結果でした。
こうして東京大学に入った倉田さん。浪人してよかったことを聞くと「なし」、頑張れた理由を聞くと「入りたい理由がたくさんあったから」と答えてくれました。
「浪人してよかったことは1個もないので、入れるなら早く入ったほうがいいです。ただそれは事情によって違っていて、東大に落ちて慶應に入るかどうか迷っている人には浪人を勧めます。
東大に入って、自分がいかに狭い世界で生きてきたかを感じました。東大は日々学びにあふれています。似通った賢さや寛容さを持った人たちが集まっているので、その人たちと議論したり知識を共有したりする環境は特別なものだと感じています。物理とか化学とか法律とか心理学とかいろんな分野の知識を持っている友達から学べることが、東大特有の学び方なのかなと思いますし、大きな財産になっています」
また、「入る目標が1個だけだと、その理由がどうでもよくなった瞬間に勉強しなくなってしまいそうで恐ろしかったです」とも語ります。倉田さんの“目標”はさまざまでしたが、その一つがテレビ番組『家、ついて行ってイイですか?』に出演することでした。「番組によく東大生が登場しているので、出るために入りたかった」といいます。
「理由はいっぱいあったほうがいいと考えています。ある理由がどうでもよくなった時でも、別の理由があるから勉強できます。今、高校でキャリアやモチベーションの話をする時にもいつも言うんですが、なぜここに行きたいのかを自分に問うて、はっきりさせることが大事だと思っています」
また、受験勉強を通して得たものに関しては「常識が身に付いた」という答えが返ってきました。
「日光東照宮に家康が祀られていることも、山口県の位置も、アンデス山脈がどこにあるかも知りませんでした。当たり前の地理・歴史の知識が全然なかったので、受験勉強で常識がものすごく身に付いたと感じています」
■中小企業の課題を解決する仕事をしたい
現在は東京大学経済学部金融学科4年生の倉田さん。経営学・マーケティング・管理会計などを学んでおり、これからは芸人としての仕事にとどまらず、「中小企業の人と関わって、会社の課題を解決する仕事を広げていきたい」という展望を語ってくれました。
国税局での税務調査経験、芸人としての人との交流、そして東大での様々な学び。一見バラバラに見えるキャリアが、着実に一本の線として結ばれていく様子が伝わってきます。
「受験したことがなかった」という出発点から、38歳で東大に合格したさんきゅう倉田さんの道のりは、スタートラインの遅さより「なぜ行きたいか」を明確に持ち続けることの大切さを教えてくれました。
教訓:大学に入りたい理由はたくさんあっていい
