『うっせぇわ』大ヒットのAdo “正体不明”が価値を生む理由

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BABYMETAL
1:名無しのメイト
3/26(金) 7:05
NEWSポストセブン

『うっせぇわ』大ヒットのAdo “正体不明”が価値を生む理由
『うっせぇわ』の再生回数は1億回を突破(公式YouTubeチャンネルより)
 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、今若い世代を中心に絶大な人気を集めている女性シン・Adoについて。
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 ランドセルをしょった小学生たちが「うっせぇ、うっせぇ」と声を張り上げながら前を歩いている。「うっせぇ」と言い合いながらも、みんなはしゃいで楽しそうだ。社会現象になっているとメディアで取り上げられていた『うっせぇわ』は、こんな風に子供たちにも浸透していた。

『うっせぇわ』は、女性シン・Adoのメジャーデビュー曲だ。昨年10月23日にリリースされ、YouTubeにミュージックビデオ(MV)が公開されると148日で再生回数が1億回を突破したという。リリースからわずか5か月で社会現象になってしまうのだから、そのインパクトは凄い。

 パンチの利いた歌声と耳について離れない「うっせぇ」というサビのフレーズ。誰もが一度は感じたことがありそうな社会や大人への不平不満、反抗心や憤り、わだかまり、イライラ、そんなものが歌詞になり曲となり、付きつけられるように迫ってくる。共感できれば、自身が抱えているストレスが発散されるような曲だが、共鳴できなければ耳障りなだけの“うっせぇ”曲だろう。
 
 楽曲もさることながら、Adoは正体がわからないことでも注目されている。MVに顔を出していないのだ。わかっているのはまだ18才の少女で、先日高校を卒業したばかりということ。黒を基調にしたMVの映像に出てくる、長い黒髪をひとつに束ね、切れ長の強い目にセーラー服風のファッションに身を包んだ少女のアニメアイコンはインパクト大。アイコンの少女は感情をぶつけてくるように表情を変え、画面から飛び出てくるような演出で、曲が持つ世界感やイメージを表現している。

 ここ数年、素性を明かさないアーティストが増えてきた。以前なら、顔を見せるのはコンサートやライブというのが露出の少ないアーティストのパターンで、メディア嫌いという理由が多かった。だが、今ではその顔すら見えてこない。正体不明にする理由はそれぞれだろうが、メディアが多様化したことで、テレビよりYouTubeやInstagramを主戦場することが可能となった。もはや顔が見えないことが新しい価値を生むような時代になってきた。

なぜ“正体不明”であることが価値を生むのか。背景の1つとしてあるのは、SNSなどによりアイドルやタレントたちが身近になり、さまざまな情報がつまびらかにされるようになったことだ。知りたいと思えばその人の行動やライフスタイルが、リアルタイムにキャッチできる。ミステリアスな部分がなくなり、想像するより先にネットで検索すれば興味や関心はすぐに満たされてしまう。しかし、顔や素性がわからなければ、ファンはその声などから自分なりに想像を膨らませ、それが楽しみにつながっていく。

 匿名であることは、視聴者に先入観を与えない。容姿や外見、言動や個性、バックグラウンドなどに楽曲が左右されることなく、MVなどで作り出すアイコンによって曲のイメージをダイレクトに伝えられる。聞いた人は楽曲だけで好き嫌いや良し悪しを判断する。作品が共感を生み、「いいね」となれば拡散されブレイクし、音楽性やアーティスト性が評価される。顔やスタイルより声や世界感にファンが集まるのだから、実にシンプルだ。

 アーティストにとってもプライバシーが保たれ、誰に忖度することなく自由に活動できる。このメリットは大きいだろう。見られていると意識すれば「ホーソン効果」が起きやすくなるからだ。注目されている、見られていると思うと、人は行動を変化させやすいと言われる。顔を出してしまえば街中で声を掛けられ、見つけてほしいという気持ちが生まれるかもしれない。曲がヒットすれば、自分が望まなくても周りの環境が変わっていき、期待されることで自分自身もその方向に言動を変えてしまうかもしれないのだ。

 その意味では、このホーソン効果こそがアーティストにとっては“うっせぇ”ことなのだろう。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/d09394e5016325b05644855d9bb0fc4561c0b717


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Source: BABYMETALまとめニュース

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